ライブチャットの女



   定時の5時になると、麻希子はまっすぐ家に帰宅する。

   29歳という、女としてはそろそろ崖っぷちと呼ばれる年齢になると、誘ってくる男性は

  そうそういない。結婚を迫られると勘違いしているのだ。冗談じゃない。世の29歳の女

  性すべてが、結婚願望を持っていると思ったら大間違いである。

   そうはいっても、男性側から見れば、もっと若い娘のほうがいいのであろう。

   それは仕方ないことだ。麻希子はそう思っている。

   最近、化粧のノリも、若い頃に比べると、どうにもよくないのだから。

   けれども、服さえ脱げば、まだ若い娘には負けない自信があるのだ。

   胸だって大きいし、まだ垂れていない。クビレだって、ばっちり決まっている。

   日ごろの、規則正しい生活習慣の賜物である。

   「特技は裸です!」 言ってやりたい。叫びたい。けれども、そんなこと現実には無理

  なのだ。

   でも……。麻希子はこの自慢のボディを世の男性に魅せつける仕事にめぐりあえた。

   それが、ライブチャットだった。

   麻希子は一人暮らしのマンションに帰ってくると、シャワーを浴びて夕食をとり、パソ

  コンの前に座る。

   パソコンの横には映像を通信するカメラがついている。

   ここから麻希子は日本中に向けて、裸体を披露してお金を得るのだ。

   午後7時。

   すでに私以外の女性たちも、パソコンを通じて世の男性を誘惑している。

   女性陣の画像を見て、男性はこれはという女性を探し出し、クリックしてINしてくるのだ。

  ここまでは無料、私の稼ぎはないのだけれど、映像は男性に見られている。

   麻希子はすでに下着姿となっていて、たわわなおっぱいを揉みほぐし、ネットの向こうの

  男性たちを誘惑する。ブラをずらしたり、ショーツの上から指でなぞったりして……。

   男性側が、麻希子を気に入って、有料映像に切り替えたら、ここからがお仕事であるのだ。

   <こんばんわ> 男性からのチャットだ。

   「こんばんわ」 私のほうは、フリーハンドマイクによって音声が使える。

   <今夜も見にきちゃったよ>

   「うれしい。いやらしいマキをいっぱい見ていってね」

     <そのつもり。もう感じてるの?>

   「うん。だって、乳首だってもう、こんなにコリコリなのよ」

   <どれどれ、見せてごらん>

   麻希子はブラをゆっくりと外しにかかる。じらすようにゆっくりとだ。

   「恥ずかしい……」 自分の部屋の中でのストリップショーの始まりだ。

   <ほら。指でつまんでクリクリしてごらん>

   ネット越しのマリオネット状態で指示通りに動く麻希子。

   「はい。あ、ああぁぁ、気持ちいい」

     本気で感じちゃっている。もともと、オナニーは大好きな麻希子である。

   Eカップのおっぱいを両手でもみ始める。

   <すごいよ、マキ。もっとおっぱいを強く揉んで!>

   「はい。あぁぁん! はぁぁん!」

   もうアソコも濡れている。

   こらえきれず、麻希子は股間に手を伸ばし、ショーツの中に突っ込んだ。

   <こら! 誰がアソコに手を入れろと言った?>

   「だって……だって……気持ちよすぎて、おかしくなっちゃうよ」

   <しょうがない子だね。じゃあ、カメラアングルをアソコにあわせて>

   麻希子はカメラの位置を動かし、アソコが画面の中心に来るようにセッティングした。

   <おいおい。もうパンツにしみがついているじゃないか>

   「ねえ。あなたも興奮してる?」

   <してるよ>

   「おちんちん、おっきくなってる?」

   <なってるよ>

   「シコシコ、始めてる?」

   <とっくにだよ。もうお汁が先っぽから出てるくらいだ>

   「うれしい。いっしょにイこうね」

   麻希子はショーツをするりと脱ぎ捨てると、ビラビラの花びらを満開にさせ、花芯から

  とろとろの蜜を溢れださせるのだった。

   「あ! ああぁん。あん。あん。気持ちいよぉ!」

   <ああ、マキ。俺もだよ>

   「見て! 見て! 私のおマンコ、見てちょ〜だい!」

   <見てるよ! ほら、もっと指を突っ込むんだ>

   麻希子は熱くなった蜜壷のなかに指を突っ込み、一番感じる部分、Gスポットと呼ば

  れる所を引っ掻き回した。

   「はあぁぁん! あ! あ! あ! すごい! イク! イきそう!」

   蜜の溢れんばかりの音が、ネットを通じて男性の耳に届いている。

   クチュクチュ、シュボシュボ……。

   男性はもうチャットしている余裕はなく、ただライブで流れる映像に釘付けだ。

   そして……。

   麻希子は身体を硬直させた。

   「はうぅぅぅ!」

   奇声を発したかと思うと、おもらししたかのような潮を噴出したのだ。

   蜜壷の中から、いつまでも溢れだすのだった。

   「はぁ、はぁ、はぁ、……やだ、私ったら、恥ずかしい」

   <あれ? どうしたの? もうおしまい?>

   別の男性がチャットしてきた。

   ネット越しの観客たちの人数は増える一方のようだった。

   「まってね。すぐ、また始めるから」

   麻希子はカメラのアングルを再び上に上げた。

   蜜で濡れた指先を、ぺろぺろとしゃぶる。

   そう、フェラチオみたいに……。

   今夜は何回イちゃうかしら?

   何人の男たちが私の身体を見てオナニーしてるのかしら。

   ネットの画面には麻希子の口元が。

   妖しげに笑っている。

   「ねえ。マキにいやらしい命令をしてちょうだい」

   声の中に笑みが聞こえる。



       



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