夏希 第三話
レイプから救ってくれた刑事
キッチンの水周りの調子が悪いので、業者を呼んで修理してもらうこととなった。
あらわれた作業員は若い新人のようで、作業に手間取っている様子だった。
その一生懸命な様子にそそられる夏希……。
あんなに汗をかいて。
男の汗って、どうしてあんなにセクシーなのかしら。
その作業員、かなり不慣れで、とうとうパイプのねじを間違って回して、水を大量に
噴出しちゃったんです。
「うわぁぁ! すみません」
なんとか水を止めたときは、私も彼もびしょびしょなのです。
「ごめんなさい。濡らしてしまって……」
夏希はタオルを手に取り顔を拭いた。
もう一本タオルが必要と、取りに行こうとしたら、足を滑らせて転んでしまった。
床もびしょ濡れだったことを忘れていたのだ。
転んだ場所がいけなかった。
かがんでいた作業員を押し倒す形となり、顔の上におしりをのせてしまったのだ。
「きゃっ! ごめんなさい」
すぐに退こうとしたのだけれど、彼ががっちりと両手で抱えて動くことが出来なかった。
「何をするの?」
「ああぁぁ、たまんないぃ。奥さん、色っぽすぎるんだよ」
そう言って、ショーツをするりと脱がしてしまった。
「やめて。やめなさい」
「そう言うなよ。奥さんだって、俺のことじっと見つめてたじゃないか?誘ってたんだろ?
いいじゃないか」
彼、私の花芯をべろべろと舐め始めた。
「あああぁぁ。やめてぇ」
舌先を固くして花芯の奥の蜜を吸い始めたのだ。
ああぁぁ。私、どうかしてる。襲われてるのに、蜜だけは溢れ出してるんですもの。
「すげえや、奥さん。コンコンと溢れてくるぜ」
「言わないで!」
彼の手が、胸にまで伸びてきて、力強く揉むんです。痛いくらいです。
ああぁぁ。でも、こんなに荒々しいのって久しぶりかも……。
なんだかクラクラしちゃうの。
濡れたキッチンの床の上で、次々に服を脱がされていく私。
抵抗しなきゃ、抵抗しなきゃ……。
でも思うように身体が動きません。
それでなくても彼の力は強く、対抗できないのです。
とうとう彼は、自らズボンを脱ぎ、そそり立つ肉棒を見せたのです。
それだけは許してはいけない……その思いが身体を動かしました。
逃げようと四つんばいに、バタバタと歩き出したのですけれど、彼に強引に
羽交い絞めにされたんです。
「大人しく観念しなよ、奥さん」
そのときです。
玄関のチャイムが鳴ったのです。
さすがの彼も身体をびくつかせ、動きを止めました。
「騒ぐなよ。黙ってれば行ってしまうさ」
何度もチャイムが鳴っている。玄関の鍵は閉めていなかったことに気づいた。
勝手に中に上がってきてくれる可能性はないだろうか?
何度もチャイムが鳴った後、今度はノックする音が聞こえた。
そして、「緑川さん、いらっしゃいませんか? 警察です」 と声が聞こえた。
そういえば、名倉くんが尋ねに来ると夫が言っていたのを思い出した。
警察という声に、彼はかなり動揺していた。
「あきらめなさい。今、放してくれたら、警察には黙っていて上げるから」
「うるさい。大人しくしてたらバレやしないさ」
私は意を決し、「きゃああああ!」 と叫び声を上げた。
驚いた彼が、私の頬を殴った。
しかし、すぐさま玄関から二人組があらわれて、彼を捕らえたのである。
その一人……間違いない、名倉勝利であった。
高校卒業して、もう10年以上たつのに、ちっとも変わっていなかった。
「訴える気はないのかい?」
夏希の淹れたコーヒーの飲みながら名倉が言った。
「ええ。おかげさまで大事にはなってないから。それに大げさにしたくないの」
「署でお灸はすえておくよ」
「お願いね」
作業員はもう一人の刑事に連れられていってしまい、今は夏希と名倉の二人きりであった。
「立派な家だね。こりゃ、玉の輿ってやつだ」
「まあね。名倉くんは結婚してるの」
「いや、まだなんだけどね」
名倉は仕事が忙しいと、いろいろ言い訳を並べていた。
言い訳が長くなるところは、高校生の頃と全く変わらない。
「ところでさ、青山の奴とはあれから逢ったのかい?」
ちょっと心がときめいた。
「ううん。でも、なに? 青山くんも東京にいるの?」
「ああ。俺の担当した事件と関係してね。あいつの奥さんが死んだんだ。事故か殺人か
微妙だったのでね。まあ、結果から言うと事故だったのだがね」
そうか。青山くんも結婚してたんだ。
そうだよね。
あれから10年以上過ぎてるんだもの……。
「もし逢っていたのなら、様子を聞こうと思ってね」
「そう……。今は青山くん、独りなのね」
「まあ、高校生の娘がいるんだがね」
驚いた。
相手は再婚だったんだ。
「なんというか……呪われた一家というかねえ」
「なんなの?」
「その死んだ奥さん、実は青山で四人目の旦那だったんだよ。前の三人はみんな死んでいる」
「それって一体……」
「いや、全て事故死か病死なんだけどね。ちょっと不気味だと思えてさ。その高校生の娘さんは、
もう両親を四回失っているんだぜ。信じられるかい?」
突然のことで、夏希は理解できずにいた。
青山くんの身に何か起きなければいいのだけれど……。
でも名倉くんは、まだ何かを捜査しているのだろうか?
「あれ? なんでうちの旦那に聞きに来たの?」
「おいおい、知らないのかい? 夏希の旦那さんのお店でシェフをしてるんだよ、青山の奴は」
青山洋平……私の初恋の相手はすぐそばにいた。
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