秋菜 第三話

レズビアン麗子に抱かれる



   朝食の忙しいときに弟の真がおかしなことを聞いてきた。

   「女の子が男に性的いたずらされたら、誰にも内緒にしておくもの? それとも誰かに

  相談したいもの?」

   ぎくりとした。真は秋菜のレイプ事件を知らないはずである。

   「朝っぱらから、なんてこと聞くのよ」 と冷静を装って答えた。そして、

   「女の子なら、誰にも知られたくないんじゃない?」 と付け加えた。

   真は神妙な顔つきでうなづいていた。



   病院に着くと、小松麗子に呼び止められた。

   「この間はごめんなさいね。あなたが私と同じタイプだと勘違いしちゃって……」

   同じタイプってどういうことだろう? レズビアンってことだろうか?

   素直に謝ってくる姿を見て、また憧れてしまうような気がした。

   「私……麗子先生と同じかもしれない。気がついていないだけで……」

   小さな声で答えた。

   そうなのだ。今の私には男は必要ないのだ。

   「いきなりだったから驚いただけかな? 今度試してみましょうね」

   唇にキスされた。

   ほんの軽いキスだったけれど、ときめくのには充分すぎた。



   夕方に制服姿の少女が訪れた。

   左腕に怪我を負ったようで、血を流しながらあらわれたのである。

   秋菜は慌てて処置を施すと、麗子の診断を受けさせた。

   そしてすぐに縫合の処置が行われたのである。

   傷は鋭利なもので切ったようで、幸いにも神経を傷つけることはなかった。

   ただ、少女の様子がただならぬ気がした。

   こんなに深い傷を負っているのに、痛がる素振りも見せない。

   まるで無表情なのだ。

   しかも怪我した原因を言おうとしなかった。

   彼女の着ている制服は、弟の通う学校のものであるはずだ。

   名前だけは言ってくれた。

   「青山春華」と小さな声で答えてくれた。

   すこし休ませるためにベッドに横にさせた。

   そして離れたところで麗子と相談したのである。

   「白崎さん、彼女を家まで送ってあげてちょうだい。だぶん、彼女、男性に乱暴されて

  可能性が高いと思うから」

   胸が痛んだ。

   「あなたなら適任かと思うの」 と麗子は付け足した。

   麗子が秋菜の過去を知るわけもないのに、なぜか見透かされているような気がしてならない。

   とにかく私は、春華という少女を家まで送っていった。

   病院からはそれほど離れていなかった。

   怪我の原因は何も聞かないでおいた。それは麗子のアドバイスでもあったのだ。

   けれども、この心を痛めている少女の力になってあげたい。

   本気でそう思った。

   彼女の家には誰もいなかった。たった一人の家族の父は仕事で夜遅くなるという。

   父には心配掛けたくないから連絡はしないで欲しいといわれた。

   今は彼女の思うとおりにしてあげよう。

   私は、自分の携帯電話のナンバーと名前をメモした紙を別れ際に渡した。

   「いつでも連絡していいからね」 と言ったのだが、彼女から連絡は来ないだろうなと思った。



   暗い気分で病院に戻った。

   男とは、なんと身勝手な生き物だろう。

   自分の欲望のために、平気で女性を傷つける。

   許せなかった。

   突然、男性に呼び止められてびっくりしたが見舞い客のようであった。

   「すみません。知り合いがこの病院に運ばれたようですがどこへ行けばいいですか?」

   男の顔を見て驚愕した。

   震えが止まらず、歯がカチカチとなるほどだった。

   「あの。桃井冬美が運ばれていると思うのですが……」

   「来ないで……」

   笑っているようで笑っていない目。

   眉の間にほくろ。

   あの男だ。カラオケボックスで私をレイプした「先生」と呼ばれていた男。

   秋菜はその場を駆け出した。

   そしてトイレに駆け込み吐いた。胃液だけがドロドロと出てくるだけだった。

   その後はまったく仕事にはならなかった。

   まっすぐ家に帰ることも出来なかった。こんな姿を弟に見られたくない。

   携帯電話で麗子に連絡した。

   「そばにいて欲しい」 とそれだけをか細い声で言った。

   「こちらにいらっしゃい」 と麗子も短く答えただけだった。



   麗子のマンションへ行き、扉の前で呼び鈴を押す。

   扉から出てきた麗子は、ただ黙って笑顔で迎えてくれた。

   そして私の身体を優しく受け止めてくれた。

   何も言わないでも、麗子には全て見透かされている。そんな気がする。

   秋菜と麗子は、そのまま寝室へと向かった。

   すぐさま、お互いに裸になるとそのまま抱き合った。

   薄明るい照明の中でみる麗子の身体は、細く美しくそしてしなやかだった。

   「綺麗。麗子せんせい」

   「あなただって魅力的よ」    秋菜を乳房を優しく揉みだす麗子。

   「あぁぁぁん。あん、あん……麗子せんせい……」

   全てを委ねてしまいたかった。

   麗子が全てを知っている。

   私の痛みも悲しみも……そして敏感な部分まで知り尽くしている。

   麗子の真っ赤な舌が、身体中を這い回ると、秋菜の性感があっという間に高まっていった。

   身体のどのパーツも性感帯になってしまったようだ。

   白魚のような指が肌の上でダンスする。

   気持ちいい。 もっと、もっと、して。 お願い……。

   指先が太股を通り過ぎ、甘い蜜をたっぷり含んだ果実を探り当てた。

   「あ! ああぁぁぁ。 すごいぃ! ああぁぁ! ああぁぁ……」

   指を動かしながらも、麗子は股間に顔をうずめ、甘い蜜を舌なめずりする。

   「うれしいわ、秋菜。こんなにたっぷり濡れているんだもの。とってもおいしい」

   「やだ、そんなこと言っちゃいや。もっと、もっと、してよ」

   麗子の愛撫はさらに続いた。

   そして秋菜は絶頂を迎えた。

   ベッドの上で再びキスしあった。

   「女同士ですもの。まだこれからよ」

   麗子のアソコもしっとりと濡れていた。

   「今度は私が舐めたい」

   麗子が脚をM字に広げた。

   真っ赤に、ぱくりと広がる、熟した果実に私は舌を伸ばした。

   「あ、ああ、あああぁぁぁ。素敵よ、秋菜」

   麗子が甲高い声をあげた。

   秋菜と麗子は、その夜、寝る間を惜しむように、ずっとお互いの身体を味わい続けたのだった。





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